2回目の通し稽古を終えて、本日は細かいシーンの返し稽古。
つまりは3回目の通し稽古に向けてのブラッシュアップ。

修正する方向性は大きくわけて2つ。
1つは、ストーリーがきちんとアップダウンしながら緊張感を持って流れているか。
1つは、主人公の気持ちがそのストーリーに左右されながら葛藤できているか。
前者を作るには俳優のやりたい演技だけではなく、外から演出が圧力やブレーキをかける必要があります。
今まではある程度自由にトライ&エラーしてきた台詞を、「〜の為には〜の方向性にして欲しい」と俳優に、時にしんどい負荷をかけて矯正していきます。
主にタイガーの稽古場ではテンポやリズム、台詞の飛ばす方向を指定していきます。
後者を作るには俳優が役と向き合ってもらわねばならず、演出は導きだすように声をかけねばなりません。
「こう思え!」ではなく「どう考えているのか」を整理させ、それを該当する台詞で出させるにはどうするばいいのかを整理する。
タイガーでは「説明しなくていいから、嘘をつくな。」「考えろ」「相手の台詞からいただけ!」なんて言葉でオーダーされます。

いずれにせよ、この時期の稽古場は演出が外からガンガン注文をつけるので、俳優には強い意志と演技プランが必要とされます。
何も考えていないと、僕にめっちゃ叱責されます。
その台詞に、その動きに、意思と意味を込めて挑んで欲しい。
今日は僕の尊敬するサッカー選手、元イタリア代表、ガットゥーゾ選手の名言を転載して、俳優へのエールとしたいと思います。
初めてピルロを見たとき、驚いたと同時にオレはフットボールを辞めようと思ったよ。こんな天才がいるのかってね。
でもピルロに無いものをオレは持っているはずだと言い聞かせて頑張ったんだ。俺にはアイツのような右足も頭脳もない。
だから俺は90分間走り続けファイトし続ける。そうしてアイツをサポートし、輝かせてやるんだ。俺は汚れ役が似合っているしな。
きっと俺は個人タイトルを得ることはできないだろう。諦めたわけじゃないぜ。
でもそんなものはいらないのさ。俺はこれからもチームの為に走り続ける。
頑張っていれば、神様がゴールをプレゼントしてくれることだってあるんだぜ。本当にたまにだけどな。
俺が10回ボールを奪うことは、1ゴール決めるのと同じか、それ以上の価値がある。ガットゥーゾにはガットゥーゾの仕事があるんだ。
俺にはゴールの感動を与えることはできない。
でも俺には俺にしか与えることができない感動がある
俺にはサッカーの才能はない。あるのは努力の才能だけさ。
僕がステージタイガーの俳優に求めるもがそれです。
あと1週間。まだまだ走れる。走ろうじゃないか。
3回目の通しが楽しみです。