演劇不信からの脱却。ー まず、この2012年、協走組曲という作品をずっと続けて来たが…
虎本 僕にとって、2011年の後半は演劇に対して不信感を抱いた時間だったんです。
ー え? それはまたショッキングな。
虎本 応募していたコンクールに落ちたりだとか、劇団内や演劇界のしがらみ的なものに苦しんだりとか。自分を取り巻く演劇の環境に嫌気がさして…演劇をやめようと思う事もありました。
ー その中生まれたのが、2012年の協走組曲というプランだったと。
虎本 一度、自分のやりたい事を整理して、1年かけてじっくり納得のいく作品を創りたいと思ったんです。試演をして、お客さんにも認知していただいて、スピンオフ作品を創ったりしてキャラクターに愛情を持たせて…。
ー そして今回、ALLSWAMPSとの最終形態に到達したと。
虎本 実は最初からALLSWAMPSとやりたい気持ちがあったんです。ただ、準備期間が必要なのと、どうせやるなら、劇場ではなくバンドの力をフルに使えるライブハウスがええなとという話になって。ここは1年先くらいを見越して動こうよという話になりました。
ー 実に1年かけての結実だと。
虎本 はい。その間にALL SWAMPSもステージタイガーも成長しましたからね。当初の予定よりもさらに遠いところへ到達できるんじゃないでしょうか?
ー 演劇への信頼は戻りましたか?
虎本 それはこの作品を観ていただければ分かると思います。語る事じゃないかな。ただ、無料公演もやって、路上もやって、プチロングランもやって。それに合わせて色んな宣伝もして。結果僕が得たものは大きかったと思います。
走る事の意味ー この協走組曲は『走る』事がモチーフとなっているが?
虎本 僕自身、ずっと何かを続けている人を、それをやめる事が出来ない人を描きたくて。それは僕自身にとって演劇そのものなのかもしれないんだけど。…より多くの人にそれが伝わるものは、シンプルな『走る』という行為だと思ったんです。あと、ステージタイガー、すげえな! って思ってもらう為には、上演中ずっと走ってる作品が良いなとおぼろげながら感じました。
ー なるほど。60分ずっと走ってますもんね。
虎本 発汗量なら、世界1かもしれないですね。自身あります。
ー あと、テーマが『絆』。
虎本 僕はあんまりテーマは考えずに書くので(苦笑) 出来上がったのを見たら、人と人との繫がりだとかそういうものに焦点が当たっていたという事です。結果論ですよ。自分自身も30代を迎えて自分と周囲の環境とのつながりを意識するようになったからですかね…
ー プライベートで結婚もされましたしね。
虎本 う、うん(苦笑) この序章の上演前にね。実は。
ー 第3楽章のカーテンコールでは堂々と宣言されていましたね。
虎本 う、うん(苦笑) どうせなら、お客さんの前で言うたれってね。
ー 客席に『愛している!』と叫んでいましたね?
虎本 う、うん(苦笑) 普段、あんまり言わないからね。ハイになったから。
ー 結果、親子の愛や、夫婦の話になったと。
虎本 そうそう。最初はカナデとハジメの親子の話だったのが、僕が結婚したから第3楽章では夫婦の話に移行したんですよ。
ー 今回の協走組曲LIVEでは、そのあたりは?
虎本 第3楽章の親子と夫婦という連環を意識しながら、もう一歩、カナデを中心とした感情に焦点を当てた演出に変えています。ラストシーンの印象がガラリと変わるんじゃないかな?
ー じゃあ、再演といえども随分と違ったものになりそうですね。
虎本 そうですね。単純な精度のupではなくて、解釈そのものが変わってるからね。ALL SWAMPSの唄う曲の意味とか、大分変わったしね。それに合わせて戯曲も改稿したし。何ぶん俳優が変わったからね。
ー この人選は虎本さんが?
虎本 うん。今年1年を振り返って、一番良いメンバーをシビアに選出したらこうなったんですよ。タイガー的鉄板。もうこれは外れないでしょう。稽古も楽しいですよ。厳しい事も言いますけど。
過酷な演出プランー 今回、また舞台上では俳優がハケずに留まり続ける演出がつけられていますね?
虎本 うん。これはね、カナデの心象を表している。ナニモノかにとらわれて逃げる事が出来ない、背負い続けているカナデの心のイメージを、全俳優で表現しているんです。
ー 深いですね…てっきりタイガーメンバーを苦しめる為にやっているのかと。
虎本 そんかわけあるかいな! きちんと意味があるんです。全ての動き、シーンの意味も細かく考えられているから。衣装も、小道具も、全て意味があるからね。
ー あの黒づくめの衣装も?
虎本 カナデの見えている世界のイメージですよ。
ー てっきり予算が無いからだとばかり…。
虎本 違うよ! 小道具だって、カナデに見えていないものとして、マイムで表現しているんです! そうすれば、おのずと俳優の身体に目が向くでしょ? ステージタイガーにとって、最高の衣装は俳優の鍛えた肉体。最高の小道具は俳優同士のコンビネーションなんですよ。
ー なるほど、こだわりを感じますね。
虎本 なんで僕が劇団というスタイルにこだわっているのか。なんで僕が客演を呼ばずに生え抜き劇団員だけでの公演にこだわっているのか。そこに理由があるんですよ。ステージタイガーの作品はステージタイガーにしか出来ない。古い考えだけど同じ釜の飯を食った仲間にしか出きない事があると信じているから。
ー まさしく、絆、なんですね。
虎本 そうそう。
ー 自身、俳優としても今回参加されますが、個人的な見所は?
虎本 このワタセという役は序章と同じ役なんですけど、役の作りを変えました。それは、序章ではパワフルに他のキャラクターを誘導するポジションにしていたんですけど、今回は見守る事を大事にしようかと思っています。優しくなっています。優しい虎本に注目して欲しいですね。あと、僕がやる以上は、笑い取りに行きますからね。吉本新喜劇で鍛えた技を見せられたら。演劇界で僕だけでしょ。キングコングと坂田利夫と末成由美と池乃めだかに台本書いたの。
チケット予約は
こちらhttps://ticket.corich.jp/apply/39708/
posted by ステージタイガー at 02:05| 大阪 ☁|
【2012年の公演】
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