男子必読の書というものがある。
三国志である。
中学生の頃、古き良き時代を知る国語の先生から、そう教わった。
しかして、人生3分の1程消費した、昨今。
他にも該当する作品がある事を知った。
バキ(グラップラー刃牙)である。
週刊少年チャンピオンで連載しているので、是非、コンビニなどへ立ち寄られた際は一読下さい。
世の女性の皆さんは、彼氏、兄弟の部屋をくまなく見て貰いたい。
そこにバキがある男は、間違いなく、『漢』である。
これほどまでに、延々と格闘技を書き続ける漫画は無い。
あのドラゴンボールやはじめの一歩ですら、ギャグがはさまれるというのに。
ひたすらに、最強を目指す漫画。
それがバキ。
バキの素晴らしさを語ると、このブログが埋め尽くされてしまうので、割愛するとして。本題に入ろう。格である。
おおよそ、主人公の強さを表すには、脇役は負けねばならない。
例を挙げるならば、
ベジータ>ナッパ>>>>>>>>>ピッコロ>御飯、クリリン
というベジータ最強状況を作り、その後登場した悟空が1週でナッパを倒す。そこで
ベジータ=悟空=とっても強い
という構図を作るのである。
主人公、悟空は無傷にして、最強の敵と同格のポジションを得、その戦いは緊張感を持つのである。
このドラゴンボールにみられる強弱の構図は『格』を生み出す。
圧倒的に格の上がってしまった悟空はいつまでたっても主人公の座を降りる事が出来ない。
御飯が成長しても、結局、ブウを悟空に倒されてしまったのは、この『格』の差に他ならない。
この一度はられた『格』を打ち破るのはそう簡単ではない。
サイバイマンに一瞬にしてやられたヤムチャなどはこの『格』の被害者と言えるだろう。
どのシリーズになっても、登場とともにやられてしまう。神のもとで、界王のもとで、修行をしたとしてもだ!
再登場直後、一コマで死んだ、フリーザも復活する度にザコ扱いされてしまう。
他にもクロコダイン、独眼鉄、バッファローマンなどがこれにあたる。
少し前まで主人公のライバルだったのに、一度格が下がれば、次なるキャラクターの強さを引き立たせるリトマス紙的扱いになってしまう。
おりしも皆、ワイルドでパワフルという共通点を持つ。
つまり格の下がったキャラクターは、己が技を磨く頭脳すら持つ事が許されないのである。
このバキの、愛すべき所は、主人公バキ以外の個性豊かなキャラクターにあり、そのキャラクターの『格』を落とさぬ所にある。
現在、誌上で最強の敵は、古代より読み上がった、ピクル。
このピクルに挑んだのは主人公ではなく、まさかの空手家、愚地克己。
今週のチャンピオンを読んでいただければわかるのだが、克己は負けた。
が、克己の『格』はむしろ上がったと言える。
今までやられ役に徹して来た克己が、新たな必殺技を身につけ、命をかけて闘う。
克己の『格』は下がらなかった。
それは、トーナメントで克己が倒した花山にも言えた事だ。
ピクル>克己
そして、いずれ
ピクル=バキ
となるだろう。しかし
バキ > 克己
とはなるまい。いつの日か復活した克己が主人公バキと闘う日を夢想する読者は少なくないはずだ。
最強を目指す限り、敗者には何も与えるべきではない。
勝負の世界は非常であり、リアルだ。
敗北=死なのだ。
が、その下がらぬ『格』に、作者の大きな愛と苦悩を感じるのだ。
ちなみに、次の公演は、今までツートップと言われた、当劇団最強の『格』を持つ鈴木、谷屋が出ない。
若手の中で誰が頭角を現すのか。
今、客演に出ている人間が『格』を上げて帰ってくるのか。
はたまた稽古場で技を磨き続けているものが、それを上回るのか?
バキの精神を、愛をもってそれを見つめて行きたい。
posted by ステージタイガー at 02:05| 大阪 ☀|
【旧】水本の日々の出来事
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