
8年経った。
何がというと僕の大学の先輩が無くなってから8年。
演劇サークルの先輩。
彼と出会ってなければ、僕は演劇を続けていなかったんじゃないだろうかという存在。
その人の命日には僕は絶対に、彼が好きだった酒、ZIMAを飲む事に決めているんだ。
僕の事を知らない人には何のこっちゃ、だけど。僕は超下戸だ。
おそらく、自分で誰にも勧められないのに、財布を広げ金を払って酒を飲むのは、その日だけなんだ。
だからその日の夜はベロンベロンになって、ぶっ倒れてしまう。即死に近い熟睡。次の日は2日酔い。
僕を狙ってる暗殺者がいるとしたらその日を狙うがいい。
その先輩が無くなった日は、そろそろ春が近づく、でも少し肌寒い様な時で。
僕が演劇と恋愛と、いかに少ない金でたくさんご飯を食べるかに夢中になっていた日だった気がする。
20歳だった。
あれよあれよという間に、僕は彼の年齢を追い越した。
彼が死んだ事故現場に毎年いくんだけど、年々、お供えが少なくなっていて。今年にしたら、僕が最初の参拝者だったようで。何も無い。不必要に舗装された道路が、そこに数年前に人が死んだ事を覆い隠すように広がっている。自販機が増えた。コンビニの光が煌煌とガードレールを照らす。この場所で待っていたら、昔の仲間達を会えるんじゃないかと思ってじっとしていたけど。やめた。
悲しいけど。それでいいんだと思う。
皆、仕事もあるし、家庭のある人も増えたし。8年経てば、そうなるのが普通なんだ。
僕はそう幸せに、器用にはなれそうにないな。彼が死んだ時と同じように、28歳のその日も、演劇と恋愛と、いかに少ない金で細々とご飯を食べるかに夢中になっていた。
ZIMAに乾杯。
posted by ステージタイガー at 14:51| 大阪 |
【旧】水本の日々の出来事
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